バックコントロール
相手の背後について両足をかけた、最も攻撃に有利な位置。入り方は、マウントで相手が逃げてきたときと、ダブルアンダーから転がるときの2つ。絞めは裸絞め→襟絞め→ジッパーポジション→ボウアンドアローの順に試し、駄目なら反対側へスイッチしてもう一周する。フックはソケイ部、足は組まない、力は入れない。最後の第七節は、この裏側。バックを取られたときの逃げ方。
01バックの原則
(フックはソケイ部・足は組まない・形は作るが力は入れない)
背後についたら、両足のかかとを相手の足の付け根(ソケイ部)にかける。足首同士は組まない。手は形を作るだけで、力は入れない。バックでは絞めを順番に全部試すので、力むと途中で息が切れる。
入口と出口
- 入口
- 相手の背後に回り、胸を相手の背中につけた
- 出口
- 両足のかかとがソケイ部に入り、首側の腕と脇の下の腕で上体を抱えている。力は抜けていて、相手は逃げられない
相手役に起きること
- 背中に胸をつけられる
- 足の付け根にかかとをかけられる
- 上体を抱えられ、前にも横にも逃げられない

バックの形を最初から見せたまま、手のロックとかかとの差し方を解説する構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)
- 相手の背後に回ったら、まず胸を相手の背中につけるこの動きは動画にない
- 片足のかかとを相手のソケイ部にかける(フック)。もう片方の足も同じようにかける
- かかとは引っかけるだけ。足首同士を組まないこの動きは動画にない
- 首側の腕と脇の下の腕で、相手の上体を抱える(一般的には「シートベルト」と呼ばれる形)
- 襟を持っている手は緩めない。緩んだところから相手は抜けていくこの動きは動画にない
- 形ができたら、力を抜いたまま絞めを選ぶ(第三節〜第五節の順番)この動きは動画にない
コツ・原理
- 「組んじゃダメ」。足を組むと足関節を取られる。第三章の上の対応でも同じ注意が出ている
- 力を入れる時期ではない。バックでは裸絞めからボウアンドアローまで順に試し、駄目なら反対側でもう一周する。力んでいると一周目で息が切れる
- フックが入りにくいときは、相手が崩れた不安定さを使って体を傾けると入る。入らなければ一度戻してもう一回
- バックはそれだけで強いポジション。絞めが決まらなくても、キープしている間は相手は何もできない
「組んじゃダメよ。ソケイ部」
「形は作るけど、力は入れない」
「ここは力む時期ではない」
「緩んだら相手に逃げられるよ」
よくある間違い・注意
- 足首同士を組んでロックする
- 手に力を入れすぎて、息が止まる
- 襟が緩み、そこから相手に抜けられる
02バックの取り方
(マウントで逃げてきたら/ダブルアンダーから)
入り方は2つ。1つは、マウントで下の相手がエビで横を向いて逃げてきたとき、そのまま背中側へ回る(第三章の「上の対応」の続き)。もう1つは、両脇を差したダブルアンダーから横に転がって背中につく。
入口と出口
- 入口
- マウントで相手が横を向いて逃げてきた。または下から両脇を差せた(ダブルアンダー)
- 出口
- 相手の背後につき、両足のかかとがソケイ部に入っている
相手役に起きること
- 横を向いて逃げようとする
- 肘と膝で逃げ道を塞がれる
- 背中につかれ、足の付け根にかかとが入る

片足が入ったシートベルトから、逃げ方の予測と止め方、もう片方の足の入れ方を解説する構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)— マウントから
- 相手がエビで横を向いて逃げてきた。膝と膝を寄せて、手を入れられる空間を消すこの動きは動画にない
- 第三章の上の対応の手順どおり、襟を持ったまま膝スイッチで残り、左斜め後ろへ倒れ込んで脇をすくうこの動きは動画にない
- 左肘を相手の肩口の奥へ入れ、右足のかかとを相手のソケイ部にかける動画は片足のフックが入った形から始まる
- もう片方の足もかける。足は組まない
- 首側と脇の下の手の形を作る。左手に力を入れすぎない動画は両肘を締めて引きつけ、力を抜く話はない
手順(完全版)— ダブルアンダーから
- 右肘をまっすぐにしたまま、右手で相手の脇を差す(アンダーフック)
- 相手の左脇の下に空間が空いている。そこへ左手をまっすぐ伸ばして差す。これでダブルアンダー
- 両脇を差したまま相手を浮かせ、横に転がって背中につく(道場では「ローアンドロール」と呼んでいた)
- 崩れた相手の不安定さを使って、足を相手のソケイ部に入れる。入りにくければもう一回
- 入ったら手の形を作る
コツ・原理
- 襟は「勝ちを確信したときぐらいしか離さない」(第三章)。バックに回る途中も襟のグリップを残す
- マウントからのバックは、相手が逃げる動きに合わせて取る。自分から取りに行くのではなく、相手が動くのを待つ
- ダブルアンダーから転がる入り方は、強い相手には流れを読まれやすい。タイミングを見て使う
- ハーフガードのアンダーフック→バックテイクも同じ出口。入口が違うだけで、背中についた後は同じ
「膝と膝」
「どこでもいいから右手アンダー」
「組んじゃダメよ。ソケイ部」
よくある間違い・注意
- 相手が逃げてくる前に自分で空間を作り、手を入れられる
- フックが浅いまま絞めに行く
- 回る途中で襟を離す
03裸絞め
(リアネイキッドチョーク)
バックで最初に狙う絞め。首に腕を回し、反対の腕でロックして絞める。相手が顎を引いて首を守ったら、力で押し込まずに襟絞めへ移る。
入口と出口
- 入口
- バックでフックが入り、首側の腕が相手の首の前にある
- 出口
- 肘の内側が相手の顎の下に入り、反対の腕でロックされて絞まる。顎を引かれたら襟絞めへ
相手役に起きること
- 首に腕を回される
- 顎の下に肘の内側が入る
- 後頭部を押されて首が絞まる

座った姿勢で裸絞めの腕の形と頭の使い方を説明し、寝た状態で足を使う仕上げを見せる構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)
- フックを保ったまま、首側の腕を相手の首の前に回し、肘の内側を顎の下に入れる
- その手で反対の腕の二の腕を持つ
- 反対の手は相手の後頭部に当てる
- 肘を引きつけ、胸を張って絞める。握りつぶさない動画は頬と頭で押し、足で相手の体を下へ押し出す
- 顎を引かれて腕が入らなければ、そこで粘らず襟絞めへこの動きは動画にない
コツ・原理
- 手順の細部は一般的な柔術の裸絞め。道場では「バックで最初に狙うもの」として順番の先頭に置かれている
- 顎が入ったらかからない。粘らず次の絞めへ移るのが順番
- 息をずっと止めない。止めると力みが出て、フックが抜ける
「顎が入ってしまったら、かからない」
「ここは力む時期ではない」
よくある間違い・注意
- 顎の上から力で押し込む(顔を絞めても極まらず、息だけが切れる)
- 絞めに夢中になってフックが抜ける
- 息を止めて力む
04襟絞め
(送り襟絞め・カラーチョーク)
裸絞めが入らなければ、相手の襟を使う。片手で襟を深く持ち、反対の手で反対側の襟を開いて下に引く。最後に手首を返すと絞まる。
入口と出口
- 入口
- バックで裸絞めを顎で守られた
- 出口
- 深く持った襟で首の横が絞まる。決まらなければジッパーポジションへ
相手役に起きること
- 襟を深く持たれる
- 反対の襟を下に引かれる
- 手首を返されて首の横が絞まる

バックから送り襟絞めの基本、足を肩にかける強化版、ボウアンドアローの順に解説する構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)
- 首側の手で、相手の反対側の襟をできるだけ上で深く持つ
- 反対の手で、相手のもう片方の襟を開いて持つ
- 開いた襟を下に引き、襟を持つ手は引きつける
- 手首を返して絞める動画は手首を返さず、背筋を張って後ろへ反る
- 決まらなければ、襟を持ったままジッパーポジションへ(第五節)動画は足を肩にかける形とボウアンドアローに移る
コツ・原理
- 「もうちょっと上を持ちましょう」。持つ位置が浅いのが一番多い修正
- 下の襟を引く手と手首を返す手は、同時に働かせる
- 決まらないときに同じ持ち方でやり直さない。持ち直すか、次の技へ
「もうちょっと上を持ちましょう」
「手首を返す」
「襟絞め、だんだん上手くなってきました」
よくある間違い・注意
- 襟を浅く持つ
- 腕の力だけで引く
- 決まらないのに同じ形で粘る
05ジッパーポジション→ボウアンドアロー
襟絞めを顎で守られたら、襟を持ったまま体を横に開いてジッパーポジションを作る。ここで絞まることも多い。それでも守られたら、襟を持っていない方の手を離して起き上がり、足で相手の足を押しながら、その手で相手の足(ズボン)を取る。襟と足で弓を引くように引き合うのがボウアンドアロー。
入口と出口
- 入口
- バックで襟を深く持っているが、襟絞めを守られた
- 出口
- 襟と相手の足を持ち、体を横に伸ばして引き合い、首が絞まる
相手役に起きること
- 襟を持たれたまま、横に開かれる
- 足を押されて体が伸ばされる
- 襟と足で引き合われて首が絞まる

冒頭で通しを見せ、アップの映像で襟の持ち方からズボンを持ち足をかけて極めるまで解説する構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)— ジッパーポジション
- 深く持った襟は離さない。反対の手を引き、同じ側の足を開いて体を横へずらす動画は反対の手を引かず、ズボンを持って横へずれる
- ここで絞まることも多い(「今ここで全部決まってます」)この動きは動画にない
- 相手が顎を入れて守ってきたら、反対の足を開きながら押し込む。引いていた方向と逆へ動画は顎の守りへの対応を見せない
手順(完全版)— ボウアンドアロー
- 襟を持っていない方の手を離して、起き上がる
- 相手の足(膝裏)に自分の足をかけ、相手を押す
- 押しながら、離した手で相手の足(ズボンや膝)を持つ
- 体を横に伸ばし、襟と足で弓を引くように引き合う
- 形は作るが、力は入れない。練習相手には本当に危ない技
コツ・原理
- 襟を持つ手は最後まで離さない。緩んだ瞬間に相手に逃げられる
- 「形は作るけど力は入れない」。ボウアンドアローは柔術でも特に強い絞めなので、練習では形まで
- ジッパーポジションは襟絞めとボウアンドアローの間の中継点。この形を通ると、次の絞めに迷わず移れる
「今ここで全部決まってます。ただ、顎が入ってしまったらかからない」
「形は作るけど力は入れない。本当に危ないよ」
「緩んだら、もう相手に逃げられるよ」
よくある間違い・注意
- 起き上がるときに襟を持つ手まで離す
- 足を押さずに手だけで引く
- 練習相手に力を入れすぎる
06スイッチと、決まらないときの順番
(博打を打たない)
片側で絞めが決まらなければ、反対側へスイッチして同じ順番をやり直す。順番は決まっているので、決まらないのは失敗ではなく「次へ移る」合図。どの技か分からなくなったら、分からないと言って止まる。当てずっぽうで動かない。
入口と出口
- 入口
- 片側で裸絞め→襟絞め→ジッパーポジション→ボウアンドアローが決まらなかった
- 出口
- 反対側にスイッチしてフックをかけ直し、同じ順番で攻め直している
相手役に起きること
- 片側の絞めを守り切る
- 背中の反対側へ回り込まれる
- 反対側から同じ順番で攻められる

バックで反対側へ移る動きと、移った側での襟絞め、最後に腕十字への切り替えを見せる構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)
- 片側で順番どおりに試す。裸絞め→襟絞め→ジッパーポジション→ボウアンドアロー片側で4本の絞めを順に試す流れは出てこない
- 決まらなければスイッチ。片手を緩め、同じ側の足を開きながら手を引き、反対側へ体を移す
- 移るときは、かかとで相手の足を押しながら。フックを反対側でかけ直す
- 反対側で同じ順番をもう一周
- それでも決まらず相手が逃げたら、止まらずに上のポジションへ移る。サイドに流れたら十字絞め→アメリカーナ→アンダーフック(第三章・第五章)上へは移らず、バックのまま腕十字に切り替える
コツ・原理
- 力任せにやらない。相手の流れを読みながら、止まらずに次の技へ移る
- マウント→バックテイク→絞めの順番→スイッチまでを、通しで練習する。前の技とつながって初めて意味がある
- ストライプの前には、ここまでの技を全部通しでやり直す。今の力み方だと息が持たないので、今のうちに力を抜く癖をつける
- 膝がかけられない側に来たら、エビで直さずスイッチで直す
「分からないなら、分からないと言いましょう。博打は打たない」
「今のやり方だと息が持ちませんよ」
「次回はバックのディフェンスです」(→第七節)
よくある間違い・注意
- 決まらない絞めを力で続ける
- 分からないまま当てずっぽうで動く
- スイッチで襟と手の形を全部離してしまう
07バックを取られたら
(下の対応:首を守る→空いた手でかかと→相手をバランスボールにする)
第一節〜第六節の裏側。背後を取られ(バック)、襟で首を絞められたら(襟絞め)、まず両手で自分の首を守る(気道確保)。次に、離しても絞められない方の手を1本だけ離し、その手と同じ側の自分の膝を胸に引き寄せる。近づいてきた相手のかかとをその手でつかみ、自分の足を伸ばしてフック(相手が自分の足の付け根にかけているかかと)を外す。残ったフックは、反対側の自分のかかとで払う。相手の体が自分の首と肩に乗っていれば、相手をバランスボールに見立てて、もたれたまま横へ歩き、くるっと回って上になる。乗っていなければ、うつ伏せになって四つ這いから起きる。
入口と出口
- 入口
- バックで両足のフックが入り、襟絞め(または裸絞め)の形に入られた
- 出口
- フックが外れて相手の横に回り、胸を合わせて上から抑えている。または、うつ伏せから四つ這いになって起きている
相手役に起きること
- 首を両手で守られ、絞めが止まる
- かかとをつかまれ、足を伸ばされてフックが外れる
- もたれかかられたまま横に歩かれ、回られて上を取られる

バックを取られた下の人が、手で首を守り、足をつかんでフックを外して向き直る流れを繰り返す構成秒数は字幕や画面の時刻から取った目安で、前後2秒ほどずれることがある。
手順(完全版)
- 襟絞めが来たら、両手で自分の首を守る(気道確保)
- 空けても絞められない方の手を探す。例: 右手を離すと絞まりそうなら、左手を空ける
- 離した手と同じ側の自分の膝を、胸に引き寄せる(準備運動の「膝を胸に」)。相手の足が手元に近づいてくる膝を胸に寄せる動きは確認できない
- 離した手で相手のかかとをつかみ、自分の足を伸ばす。フックが1本外れる
- 残ったフックは、反対側の自分のかかとで払う(準備運動の「かかとで膝の横をトントン」)
- 両足をマットにつき、マットを蹴って相手にもたれる。自分の首と肩で相手を押す(ボールドリルの「もたれる」)動画はもたれずに相手の方へ向き直って上を取る
- 自分の首と肩を相手に当てたまま、横に歩く(「ボール横移動」)横に歩く動きは動画にない
- 手を離して、肩をマットにつけるように体をくるっと回す(「ボールコロコロ」)。相手の横に出たら、胸を合わせて上から抑える転がって上になる動きは動画にない
- 相手の体が自分の首と肩に乗っていない(押しても首で押せない)ときは、バランスボールの動きは使わない。膝をマットにつけてうつ伏せになり、腕を水泳のクロールのように回して抜き、膝を立てて起きる
部品になっている準備運動
このレッスンは、準備運動とボールのドリルを先にやり、後半でそれを組み立てて逃げ方にした。技を忘れたら、まず部品のどれが抜けたかを見る(附録五「七」)。
| 準備運動・ドリル | この逃げ方の中の一手 |
|---|---|
| かかとで自分の膝の横をトントン(20回) | 残ったフックをかかとで払う |
| 片膝ずつ胸に引く(10回) | 空けた手の側の膝を胸に引き、相手のかかとを近づける |
| 膝を胸→開く→伸ばす(10回×左右) | かかとを持ったまま足を伸ばしてフックを外す |
| ボールに背中をあずけて反る・触れて跳ね返る | 相手にもたれる力加減(体重を預けすぎない) |
| 首と肩でボールを押しながら横に歩く(5往復) | 相手にもたれたまま横に歩く |
| 首と肩でボールを転がしながら進む | くるっと回って上になる |
コツ・原理
- 準備運動とボールのドリルは、全部この逃げ方の部品。膝を胸に・かかとで蹴る・もたれる・横に歩く・転がる。部品を先に体に入れてから、組み立てる
- 相手を「バランスボール」とみなす。ボールにもたれて横に歩けるなら、相手にもたれて横に歩ける。基準は「相手の体が自分の首と肩に乗っているか」
- 力を入れない。プルプルするほど力むと、つかんだかかとも、もたれる体重も伝わらない。ボールの上でできた力加減でやる(附録五「八」)
- 絞めが強くなって反ってしまったら、まず両手で相手の手を自分の肩に押しつけて気道を確保し直す。そこから同じ順番
- 左右両方やる。離す手が左か右かで、使う足も回る方向も逆になる
「なんでそんなに力むんですか」
「言うこと聞いてくれたらできるんですよ」
「さっきの定義と違うところは、首と肩に僕が乗ってない」
「全部うまいことマッチしてる。あとはプルプルだけ」
よくある間違い・注意
- 首を守る前に逃げようとする
- 絞めている腕の側の手を離して、絞められる
- 膝を胸に引かずに、かかとを取りに行く(届かない)
- 全身に力を入れてプルプルする
- 相手が乗っていないのに、もたれて横に歩こうとする