前提知識
技を習う前に、ポジションの名前と試合の点数の付き方を覚えておく。名前が分かれば、困った場面を先生に聞けるし、動画も探せる。点数の付き方が分かれば、スパーで何を目指せばいいかが分かる。ルールは日本ブラジリアン柔術連盟の日本語版ルールブック(2024年6月版)で確かめた。
01ポジションの名前
(まずこの11個)
柔術のポジションは何十もあるが、白帯が最初に覚えるのは11個でいい。上か下か、相手の体が自分の足の間にあるか、の2つで大きく分かれる。

動画は立ちからノースサウスまでを実演で順に紹介している。ニーオンベリーとマウントは名前だけ、バックは出てこない(第二節のルールの動画に出てくる)。秒数は字幕の時刻から取った。
手順(完全版)
- スタンディング(立ち): お互いが立って向き合った状態。試合はここから始まり、テイクダウンか引き込みで寝技に移る
- トップとボトム: 上にいる人がトップ、下にいる人がボトム。下全般をボトムと呼ぶ
- ガード: ボトムで、相手の体が自分の足の間にある状態。足の間にいなければ、下でもガードではない
- クローズドガード: 両足を相手の胴に巻き付け、足首を組んで閉じたガード(第一章)
- オープンガード: 足が開いているガードの総称。スパイダー、デラヒーバなど種類は何十もあるが、最初は「足が開いていればオープン」でいい
- ハーフガード: 相手の足を1本だけ挟んだガード。ディープハーフ、ニーシールドなども仲間(第四章・附録三)
- サイドコントロール: 相手の横から胸を合わせて抑え込んだ状態(第五章)
- ノースサウス: 相手と頭の向きが逆になるように、上から抑え込んだ状態
- ニーオンベリー: 相手のお腹や胸に膝を乗せて上から抑える状態
- マウント: 相手の胴体の上にまたがって座った状態(第三章)
- バックコントロール: 相手の背後について、両足のかかとを相手の足の付け根にかけた状態(第六章)この動画には出てこない。第二節の動画の3:37から
コツ・原理
- 名前を覚える目的は、困った場面を言葉にすること。「ハーフガードの下で潰されると動けない」と言えれば、先生にも聞けるし、動画も探せる
- オープンガードとハーフガードは種類が多い。白帯のうちは「足が開いている」「足を1本挟んでいる」の大分けで十分
- 上の人の抑え込みは、横から(サイド)、逆向き(ノースサウス)、膝を乗せる(ニーオンベリー)、またがる(マウント)、背後(バック)の5つで覚える
02ポイント
(試合の点数の付き方)
点数は、有利な形を作って3秒間保ったときに入る。形を作っただけで3秒保てなければ、点数は入らない。点が大きいのは、相手を抑え込む形(パスガード3点、マウントとバック4点)。

動画は点数の入る形を順に実演している。バックで足を組んだ場合、動画は「ポイントが入らない」と言っているが、ルールブックではアドバンテージだけが入る。秒数は字幕の時刻から取った。
手順(完全版)
- テイクダウン 2点: 立った状態から相手を倒し、上になって3秒保つ
- スイープ 2点: 下からガードを使って上下を入れ替え、上になって3秒保つ
- パスガード 3点: 上から相手の足を越えて、横か上から抑え込み、3秒保つ
- ニーオンベリー 2点: 相手のお腹・胸・脇腹に膝を乗せ、反対の膝をマットにつけずに3秒保つ
- マウント 4点: 相手の胴体の上にまたがり、両膝(または片膝と片足の裏)をマットにつけて3秒保つ。相手の両腕ごと挟んでいるとアドバンテージだけ
- バックコントロール 4点: 背後から、足を組まずにかかとを相手の太ももの間に入れ、3秒保つ。足首を交差したり四の字に組んだりすると、アドバンテージだけ
| 形 | 点数 | 条件 |
|---|---|---|
| テイクダウン | 2 | 上になって3秒 |
| スイープ | 2 | 下のガードから上下を入れ替えて3秒 |
| ニーオンベリー | 2 | 反対の膝をマットにつけずに3秒 |
| パスガード | 3 | 足を越えて抑え込み3秒 |
| マウント | 4 | またがって3秒。両腕ごと挟むと不可 |
| バックコントロール | 4 | 足を組まずにかかとを入れて3秒 |
コツ・原理
- 形を作ったら、声に出さずに「1、2、3」と数える。スイープして喜んでいる間に上を取り返されると、何も入らない
- パスガードから先は、ニーオンベリー、マウント、バックと点を重ねていける。マウントを取られてから逆転されることはあまりない
- バックの「足を組まない」は、点数のためだけでなく、足首を極められないためでもある(第六章)
03アドバンテージと、同点のときの勝ち方
点数の形に「あと一歩」まで行ったのに3秒保てなかったとき、または相手を極めの危ない状態まで追い込んだときに、アドバンテージが1つ入る。点数が同じなら、アドバンテージの多い方が勝つ。
手順(完全版)
- 点数が多い方が勝つ
- 点数が同じなら、アドバンテージが多い方が勝つ
- アドバンテージも同じなら、反則(ペナルティ)が少ない方が勝つ
- それも同じなら、レフリーの判定で決まる
コツ・原理
- 点差がついている試合ではアドバンテージはあまり関係ないが、接戦ではこの1つで勝敗が分かれる。取れるものは取っておく
04反則
(ペナルティ)
白帯がうっかりやりやすい反則は2つ。道着の袖口や裾口の中に指を入れて握ること、そして攻めずにしがみつき続けること(ストーリング)。反則は4回で失格になり、2回目からは相手に得点が入る。
手順(完全版)
- 袖口・裾口に指を入れる: 相手の袖口や裾口の内側に指を入れて握ると反則。袖は外から握る
- ストーリング: 攻められる形なのに、しがみついたまま前へ進もうとしないと反則。レフリーに「攻めなさい」と合図される
- 1回目: 反則が1つ記録される(相手に点は入らない)
- 2回目: 相手にアドバンテージが1つ入る
- 3回目: 相手に2点入る
- 4回目: 失格になる。殴るなどの重い反則は、1回で即失格
コツ・原理
- 細かい反則は帯や大会によって違う。試合に出る前には、その大会のルールを確かめる
- 練習のスパーから袖口の握り方を正しくしておくと、試合で慌てない
05動画で技を覚えるときの見方
動画は頭から全部見ない。先にスパーで「いつもここでやられる」「ここまではうまくいく」を見つけ、その場面の動画だけを探して見る。見たら、動画のまま打ち込みで繰り返してから、スパーで試す。
手順(完全版)
- スパーのあと、いつもやられる場面か、途中までうまくいく場面を1つ書く(附録五「スパー後に書く3行」)
- その場面をポジションの名前で言う(この序章の第一節)。これがそのまま動画の検索語になる
- 動画は全部を最初から見ず、その場面の部分だけを見る
- 見た動きを、次の練習の打ち込みで繰り返す
- 制約付きスパー(附録五)で、その場面だけを繰り返して試す
コツ・原理
- 寝る前に長い動画を見ても、翌日にはほとんど残らない。困りごとを決めずに見る動画は、疲れるだけで上達につながりにくい
- この考え方は附録二「技の覚え方」、附録五「スパーで使えるようにする」と同じ。動画は「困りごとの答えを探す道具」として使う
06家で動きを学べるオンライン教材
家で見ながら覚えるなら、日本語で体系的に見られて質問もできるシュラプネルオンライン(月1,950円)が第一候補。英語が平気なら、順番に学べる Submeta も選択肢になる。料金は2026年9月26日に確かめた時点のもの。
| サービス | 料金 | 言語 | 向いている使い方 |
|---|---|---|---|
| シュラプネルオンライン | 月1,950円(税込) | 日本語 | 1,700本以上をテーマ別に見られる。LINEで質問でき、自分の動画も月1回見てもらえる。即日解約できる |
| Submeta | 月25ドル前後(レビューサイトの記載) | 英語 | コースが順番に組まれている。公式の料金ページは確認できていない |
| Gracie University | 月20ドル(値引き中) | 英語 | 護身術が中心。試合の柔術とは目的が違う |
| BJJ Fanatics | 1本77〜277ドル(買い切り) | 英語 | 上級者向けの教則が中心。白帯のうちは不要 |
どの教材でも、見方は第五節と同じ。困りごとを決めてから、その場面だけを探す。