柔術ノート

柔術ノート

レッスンで教わった技術の記録と、それを「科学的に最短で身につける」ための順序と回し方。運動学習の研究で効果が確認されている原則(相手役に何が起きるかを見る・間隔を空けて思い出す・寝る)を、そのまま練習の型にしてある。

学ぶ順序(6段)

技の数を増やすより、下の段が「見ずに再現できる」状態になってから次へ進む。一段ごとに進級条件を置く。

根拠: 複雑な技は、時間的につながった動作を切り離すと保持が悪くなる(部分練習のメタ分析)。一方で「まだ形がない技を混ぜても効かない」ため、段ごとに固めてから次の段で混ぜる(技を行き来する)。

前提知識と基礎ムーブ(毎回5分、全段で継続)

最初に序章でポジションの名前と試合の点数の付き方を覚える。体はブリッジ・エビ・肩ブリッジ(ウパ)・テクニカルスタンドアップ。技ではなく「体の使い方」で、全ての技の中に入っている部品。

進級条件 左右10回ずつを、止まらず・息を止めずにできる。序章の「見ずに確認」に全部答えられる。

クローズドガードとサイドエスケープ

第一章。「相手の頭を下げる」「引く」という共通原理の上に、十字絞め→腕十字→三角の分岐と、後ろに逃げられたときのヒップバンプ。抑え込まれたら戻ってくるためのサイドエスケープ。

進級条件 7技の「見ずに確認」に全部答えられる。スパーで十字絞めか腕十字を1回は狙える。

マウントの攻防と、上からのガードブレイク

第三章と第二章。マウントは「キープ最優先」、攻めは十字絞め→アメリカーナ→サイドの意思決定ツリー。下になったら肩ブリッジ・エビ・アンダーフックの3種で逃げる。上の立場でガードを割る原理(回す)も同時に。

進級条件 マウントを取られて3回に1回は逃げられる。ガードブレイク1を立って開けられる。

ハーフガードと、いまの柔術で使われている技

第四章と最新スキル。下からの起点は「アンダーフックと潜り」の2つだけ。上からは腸骨・ラペラ・枕で封じる。ここにニーシールド・ボディロックパス・テクニカルスタンドアップを重ねる。

進級条件 ハーフガードで3択(潜り・バック・ダブルレッグ)を相手の反応で選べる。

サイドコントロールの攻防

第五章。ハーフガードブレイクの出口がそのまま入口。脇を差せたか(アンダー)差せず巻いたか(オーバー)の2択で技が決まり、どちらも「腕が取れなければ襟で輪っか→腕十字」に合流する。上の人の動きは腰切り上か下だけ。第四章のサイドエスケープと表裏で覚える。

進級条件 エイトポジションを息を止めずに左右10周。アンダー/オーバーのどちらからでも輪っかまで見ずに通せる。

バックの攻防

第六章。マウントで相手が逃げてきたら、またはダブルアンダーから転がって背中につく。フックはソケイ部、足は組まない。絞めは裸絞め→襟絞め→ジッパーポジション→ボウアンドアローの順で、駄目なら反対側へスイッチ。マウントからここまでを通しで回すと、力んでいるかどうかが息で分かる。取られた側は、首を守る→空いた手でかかと→相手にもたれて横へ、の順で逃げる。

進級条件 マウントからバックテイク→絞めの順番→スイッチまでを、足を組まず、息を止めずに1本通せる。取られた側からは、バックエスケープゲームで首→かかと→ボールの順を守り、30秒以内に相手の横へ出られる。

週の回し方

練習は週2〜3回。技は練習中ではなく、練習と練習の間に定着するので、間の5分を設計する。

練習中:見る
デモ1回目は相手役に起きる「変化」だけ見る(段階1の3コマ)。2回目で各変化の直前に先生が何をしたかを動詞1つで拾う(段階2)。自分の番の前に3語の合図を唱えて頭で一度再生。
練習中:動く
新しい技は最初の5〜10回を固めて回す。形が出たら前回の技と交互に。「もう一回見せて」の前に自力で1回やって止まる箇所を確認。
スパー前
今日の目標を1つ決める。「相手に手を出させる」のように相手役に起こすことで。スパー中は相手が何をしたかだけを見る。
練習の最後10分
状況を決めたスパー(制約付き)を1設定、3〜5本。その日の技を見ずに1回ずつ通す。
帰宅後5分
頭の中で1回、できれば体で1回(シャドー)。止まった箇所を3行メモ、力み・呼吸・震えを3段階で記録。習った技を復習カレンダーに登録。夜は寝る。
翌日以降
復習カレンダーに出た技を、ページを開かずに3語と「見ずに確認」で答える。詰まった技が次の練習の最初。
週1回
練習時間・睡眠・痛みの3つを記録。前週の1.5倍を超えない。
ジムの日
柔術の翌日か、柔術のない日にフィジカル。柔術の直前に高強度の筋トレをしない。

効果の強さの印は 技の覚え方 の「効果の確からしさ」と同じ基準。弱いものは補助として扱い、強いもの(見方・間隔・睡眠)を落とさない。

章一覧

下から両足で相手をロックする、柔術の出発点。腕十字・三角絞め・十字絞めの三本柱とヒップバンプスイープを、「相手の頭を下げる」「引っ張る」という共通原理でひとつのシステムにする。

  1. クローズドガード(ポジションの原則・共通原理)
  2. 腕十字(クローズドガードから)
  3. 三角絞め
  4. 十字絞め(クロスカラーチョーク)
  5. ヒップバンプスイープ
  6. サイドエスケープ(ブリッジ→エビ→ガード回復)
  7. 抱きしめてブリッジで返すリバーサル
  8. 考え方

視点を上に移し、相手のクローズドガードを開かせる。ブレイク1・2・3の型と、「長方形の中の長方形を回す」という原理。細部はナックル・つま先立ち・一挙動。

  1. ガードブレイクの原理(「長方形の中の長方形」モデル)
  2. クロスガードブレイク1(正対して立つブレイク)
  3. クロスガードブレイク2(脇パンチ)
  4. クロスガードブレイク3(ハイガードブレイク)
  5. 90度理論(腕十字の原理)
  6. 習得理論(小さい目標とドーパミン・一挙動縛り)

最も有利なポジションの攻防。キープを最優先に、十字絞め・アメリカーナ・腕十字の意思決定ツリーで攻め、肩ブリッジ・エビ・アンダーフックの三種で脱出する。

  1. マウントポジションの原則(キープ最優先・腰で動く・体重で抑える)
  2. マウントからの十字絞め(クロスチョーク)
  3. アメリカーナ
  4. マウントからの腕十字(S字マウント経由)
  5. マウントエスケープ1: 肩ブリッジ(ウパ)
  6. マウントエスケープ2: エビ(ヒップエスケープ)
  7. マウントエスケープ3: アンダーフックエスケープ
  8. エスケープへの「上の対応」(膝スイッチ・バックテイク→チョーク)
  9. サイドコントロールの攻撃連携
  10. マウント攻撃の意思決定ツリー
  11. 呼吸法・三角絞め

相手の片足だけを絡む現代柔術の主戦場。下からは潜り・アンダーフック・バックテイクの三択、上からは腸骨・ラペラ・枕で制するブレイク1・2・3。

  1. ハーフガード(ポジションの概念と基本原則)
  2. 半身フレーム(劣勢→攻勢の転換)
  3. 車輪スイープ(自分が車輪になる)
  4. 潜りスイープ(モグリスイープ)
  5. アンダーフック→バックテイク(乗らずに倒れ込む)
  6. アンダーフックからのダブルレッグテイク
  7. 3択の判断
  8. ハーフガードブレイク1・2(トップ。腸骨+ラペラ+枕)
  9. ハーフガードブレイク3
  10. サイドエスケープ→ハーフガード構築(通しドリル)
  11. 考え方(理合い・目を瞑らない等)と補強運動

相手の横から抑え込む、いちばん得点しやすい位置。脇を差せたか(アンダー)、差せず巻いたか(オーバー)で技が決まり、どちらも「腕が取れなければ襟で輪っか→腕十字」に合流する。上の動きは腰切り上か下だけ。

  1. サイドコントロールの原則(アンダーかオーバーか・動きは腰切りだけ・力を入れない)
  2. アンダーフック→アメリカーナ
  3. アンダーフック→腕十字(襟の「輪っか」から)
  4. オーバーフック→キムラ
  5. オーバーフック→腕十字(腸骨を押して起きる)
  6. 下の人が逃げてきたら(腰切り上か下だけ)とエイトポジション
  7. 考え方(認知が先・六手先を見ない・ゴールから)と補強運動
  8. 腰を切られたら(下の対応:肩ブリッジ→フレーム→ハーフ/アンダーフック→バック)

相手の背後について両足をかけた、最も攻撃に有利な位置。フックはソケイ部、足は組まない。絞めは裸絞め→襟絞め→ジッパーポジション→ボウアンドアローの順に試し、駄目なら反対側へスイッチする。取られたときの逃げ方も同じ章にある。

  1. バックの原則(フックはソケイ部・足は組まない・形は作るが力は入れない)
  2. バックの取り方(マウントで逃げてきたら/ダブルアンダーから)
  3. 裸絞め(リアネイキッドチョーク)
  4. 襟絞め(送り襟絞め・カラーチョーク)
  5. ジッパーポジション→ボウアンドアロー
  6. スイッチと、決まらないときの順番(博打を打たない)
  7. バックを取られたら(下の対応:首を守る→かかと→バランスボール)

試合の始まり方。道着をつかんでから引き込み、座った直後の一瞬にパスされない形を作る。片足タックルを受けたときと、タックルを潰されたときの戻り方。倒す技はカラードラッグ。

  1. 立ち技の原則(引き込むか、倒すか、守るか)
  2. ガードへの引き込み(際が肝心)
  3. パスされない引き込み(2種類)
  4. 片足タックル(シングルレッグ)を受けたら
  5. カラードラッグ
  6. タックルを潰されたら

足を閉じないガードの守り方。手は引く・足は止める、足を外されたら手で止める。起き上がって逃げるリテンション、片襟片袖・シッティング・バタフライの3つのガードと、ガードを切り替える目安。

  1. ガードの原則(手は引く・足は止める)
  2. 起き上がるリテンション(体が硬くても使える)
  3. 片襟片袖ガード(パスされにくくするコツ)
  4. シッティングガード(引き込みとキープ)
  5. バタフライガードのセットアップ(引き込みから)
  6. ガードの切り替え(いつ変えるか)

道場に行けない日の練習。一人でやる基礎ムーブ7つ、練習用の人形での打ち込み、相手のいない日のイメージ練習。どの技の中にも入っている部品なので、全段で続ける。

  1. 自宅練習の組み方(一人・人形・イメージ)
  2. エビ(ヒップエスケープ)
  3. 肩ブリッジ
  4. 腰切り
  5. 足回し
  6. 横回り
  7. 肩抜き後転
  8. 後ろ受け身と立ち上がり
  9. 人形でやる打ち込み
  10. イメージ練習(相手のいない日に)

上から足の開いたガードを越える技。組み手を変えずに方向を変える考え方、トレアドールの足運び、低い体勢のトレアドール、半身の相手へのニースライス。

  1. パスガードの原則(組み手を変えずに方向を変える)
  2. トレアドール(足運びの基本)
  3. もたれかかるトレアドール(片襟片袖に低い体勢で)
  4. ニースライス(半身の相手に)

柔術を続ける人とやめる人の違いを、査読論文の結果から整理した附録。動機の種類・道場内の人間関係・目標の立て方の3点。PDF版もあり。

  1. 一、通う動機の種類
  2. 二、道場内の人間関係の位置
  3. 三、目標の立て方
  4. 補足、怪我と最初の2〜3か月

デモを見てすぐ再現し、翌週まで残すための6つのコツを、運動学習の研究(注意の向け方・観察+イメージ・練習の並べ方・間隔と睡眠)から整理した附録。

  1. 一、「相手役に何が起きるか」を見る
  2. 二、一言で名前を付け、頭の中で再生
  3. 三、見ずに一度やってから見直す
  4. 四、技を行き来して練習する
  5. 五、日を分けて繰り返し、寝る
  6. 六、帰ったら「詰まった箇所」だけ書く
  7. 一回の練習に落とすと

3か月目の白帯が最初に足す3つ。ニーシールド、ボディロックパス、テクニカルスタンドアップ。各章と同じ型で解説。

  1. 一、ニーシールド・ハーフガード
  2. 二、ボディロックパス
  3. 三、テクニカルスタンドアップ

エニタイム梅田中津のマシンで、週2回・全身。ACSM 2026 指針と柔術選手の体力研究に基づく種目・回数・重さの決め方と週の組み方。

  1. 重さを決める
  2. A日
  3. B日
  4. 有酸素
  5. 週の組み方

覚えた技を動く相手に出すための練習設計。制約付きスパーの設定(章ごと)、今日の目標1つ、動画の見方、相手の反応→技の表、力みと呼吸の記録、準備運動を技の部品にする、力みの震えをほどく。

  1. 一、制約付きスパー
  2. 二、今日の目標を1つ
  3. 三、動画は止まった瞬間だけ
  4. 四、相手の反応→自分の技
  5. 五、力みと呼吸の記録
  6. 六、相手の動きに技が出てこないとき
  7. 七、準備運動は技の部品
  8. 八、プルプル(力みの震え)をほどく

習った日を入れると、翌日・3日・1週・2週・1か月の復習日が出る。ページを開かずに3語の合図と「見ずに確認」に答える。

  1. 技を登録する
  2. 今日の復習
  3. 復習の仕方

1つずつならできる技が、つなげると止まる理由と、「相手がこう来たらこう返す」が体から先に出るようにする練習の順番。つなぎ目練習、反応の4段のはしご、ひとりでやる練習、1週間の組み方。論文リンクつき。

  1. 一、なぜつなげると崩れるのか
  2. 二、つなぎ目だけを練習する
  3. 三、反応は1択から増やす
  4. 四、ひとりでやる練習
  5. 五、1週間に落とすと

シュラプネルオンライン(会員制)のポジション別ページ149件を、このノートの章に並べ直した一覧。どの章の続きをどこで見るかと、ノートにまだ無いポジション(立ち技・オープンガード・パスガードなど)が分かる。リンクを開くにはログインが要る。

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稽古の心得

省エネ・ワンアクション
無駄な力を抜く。力むと消耗して動きも遅れる
ループで攻める
単発の技でなく、防がれたら分岐してまた戻る「輪」で攻める
山を張る
相手の反復パターンを読んで一点に賭ける
理合いで覚える
技は力の道筋(理合い)が4つ繋がったもの。手順の丸暗記をしない
一挙動
動作を分割しない。分割は相手に対応の時間を与える
キープ最優先
有利なポジションほど維持が先。攻めは自分の引き出しの範囲だけ
オートマチック禁止
気持ちよく自動再生した攻めはカウンターされる。相手の反応を見て選ぶ
小さい目標を刻む
達成できる目標を刻むと習得が速い